ACTIVATING STUDENT MOTIVATION, AUTONOMY AND CURIOSITY VIA ACTION RESEARCH

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ABSTRACT OF THESIS

This study was undertaken to improve English II lessons in Senior High School within the frameworks of teacher adaptability, input-intake mechanism, and learner autonomy. Results of two preliminary investigations identified 20 problems that students had in studying English. This was followed by both qualitative and quantitative research, and completed with a comparison of pre-post treatment.

KEYWORDS: Teacher adaptability, Action research, Learner autonomy, Motivation, Input-intake mechanism

要旨 アクションリサーチによる生徒の意欲・自律性・興味の活性化

本研究は、教師の適応能力、インプットの内在化、学習者自律性の3つの観点から、高等学校・英語Ⅱの授業改善を目標として、アクションリサーチを実施したものである。

第1の観点は、教師の適応能力である。生徒の学力・学習環境・価値観の多様化が指摘されており、教師は従来の教授法・学力観にとらわれることなく、変化と多様化に適応していくことが求められている。中でもアクションリサーチによる授業改善は、教師の適応能力を高めるための手法として有効であると考えられる。教師の適応能力が高まれば、第2の観点であるインプットの内在化、および第3の観点である学習者自律性がともに促進されることになる。第1の観点は、第2・第3の観点を包括的に支える概念でもある。

第2の観点は、インプットの内在化である。文部科学省が2000年に発表した「英語が使える日本人」の育成のための行動計画、およびそれに基づいて各地に指定されたスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)による研究成果により、授業方法や内容に変化が見られるようになってきている。また、未だに文法訳読式の授業が広く行われている一方で、和訳先渡し方式のような、訳読に依存しない授業方法が提示されている。本研究では、SLA研究の成果に基づき、学習内容であるインプットを、生徒が実際に理解・習得する内容であるインテイクにいかに高めるか、つまりインプットの内在化について検討を行った。その中では、インプット・インテイク・アウトプット・インターアクション・学習者の気づきの5つが、重要な要素となる。授業改善においては、これらの要素に留意すべきである。

第3の観点は、学習者自律性である。多様化する生徒の学力・意識に、単一の教授法・学習方法を適応することでは対応できなくなってきている。個々の生徒が自ら意欲的に学習に取り組むための方略を身につけることが重要となる。そのためには、教師が生徒の自律学習を促進する具体的な学習方略の定着をはかっていくことが必要となる。この点で、第1の観点である教師の適応能力と、第3の観点である学習者自律性は、表裏一体の関係であると言える。

これら3つの理論的支柱に基づいて、以下のような手順で調査・研究を実施した。

まず、2006年3月に、兵庫県立兵庫高等学校60回生1年生7クラス280人を対象に、(株)ベネッセが実施しているスタディサポートを参考にして、学習時間や学習方法など、学習環境調査を行った。また、2クラス79人を対象に、和訳や音読など、英語Ⅰの授業中に主に行っていた16の活動について、必要性・難しさ・面白さの3つの観点から5段階で評価を求めた。

この2種類の事前調査の結果に基づいて、生徒が英語学習上に抱く20の問題点を抽出、これらを解消・改善することで、生徒の学習意欲・自律性・興味が活性化されるという仮説を立てた。

2006年4月および7月に、英語Ⅱの授業を担当していた、兵庫県立兵庫高等学校60回生2年生3クラス120名を対象に、質問紙調査を行った。質問紙では、2006年3月に行った質問紙調査の結果に基づいて抽出された20項目について、5段階評定で回答を求めた。

4月から7月にかけて、20項目の問題点を解消・改善するために、さまざまな取り組みを行った。5月末に、3月に実施したものと同じ手順で、英語Ⅱで行っている活動について、調査を行い、活動内容の精選を心がけた。授業の録画およびそれに基づいた授業日誌を記録し、映像および振り返りから浮かび上がる、授業における問題を解消する試みを続けた。また、同僚の教員を招き、授業を見学していただき、コメントをいただいた。

4月と7月の質問紙調査の回答結果を比較したところ、対策を実施できた項目については、改善が見られた。また、2回の解答結果について因子分析を行った。その結果、3つの因子「学習意欲」「学習方法」「学習内容」のいずれも4月から7月にかけて、改善が見られた。これらのことから、本研究が生徒の意欲・自律性・興味を高めるのに効果があったことが示されている。

本研究が提示する、生徒の意欲・関心・興味を高めるために授業改善を行う手順は、SELHiの成果をはじめとして、すぐれた授業の教材や実践が容易に入手できるようになってきた現在、その成果を個々の環境に適応させる手段としても、有効であると考えられる。

編集後記

  • Word/ExcelファイルのPDF化には、ライブPDFを利用しました。
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  • 3年間通った大学院を、無事、修了しました。大学院および修士論文関係のブログは、これが最後になります。ご愛読、ありがとうございました。