教育工学と英語教育

2005年4〜7月、神戸市外国語大学にて実施。講義メモ。

2005.4.24 学習評価へのGradebookの応用

Easy Grade Pro アメリカ製評価ソフト

IK_SYSTEM掲示板 兵庫県公立高等学校よく使われている評価ソフト

2005.5.7 教育現場へのインターネットリソースの活用

  1. 検索サイトを使いこなす
    • 【例】Google できること:通常検索、イメージ検索、ニュース検索
    • 必要なものをどうやって探すかが難しい
    • 【例】映画「MASK」のスクリプトを探すにはどうすればいいか?
    • 【答】"Leave the dog alone" "Do I feel lucky" を検索語としてGoogleでさがす。
    • 欠点その1 検索の絞込みがめんどう
  2. 専門サイトの活用
  3. 欠点を解決するために
    • 自分が使いやすいように、リンク集を作る
    • 繰り返し使うデータをHTML化しておく 【例】英語通信Pyxis
    • データ収集にウェブメールを使う 【例】Gmail メールバックアップ、メールマガジン、生徒窓口などに利用。さらに、メールをデータ収集として使うこともできる。以下のWebメールサービスは2GBの容量があって、実質、無限大。データのバックアップとしても便利。
  4. まとめ
    • インターネット=大きな海、ほしい情報=魚
    • 捕まえるには、それなりの技が必要。過度の期待は禁物
    • 情報を捕まえる『仕掛け』を用意しておく
    • 検索サイトの使いこなし、リンク集、ウェブメール

2005.5.7 インターネットの英語授業への活用

インターネットについてもっと知るためのウェブページ

(a) 初心者がだいたい分かるインターネットのしくみ
http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/edsoftol/internet-jhs/index2.htm
いまさら訊けないインターネットのキホンとしくみ
http://y-kit.jp/inet/

教育・研究にすぐに役立つウェブサイト

(a) インターネット検索
ディレクトリ型 (カテゴリー検索型) 図書館の十進分類法のようにカテゴリーをたどるもの
Yahoo! http://www.yahoo.com/
Yahooligans! http://www.yahooligans.com/
キーワード型 (ロボット型全文検索) カテゴリーが明確でない場合に威力を発揮する
Google http://www.google.com/
  (Googleでも題字のすぐ下の右端のタブでカテゴリー検索可能)
連想検索
Webcat Plus http://webcatplus.nii.ac.jp/
(b) 書籍データベース
Amazon Japan http://www.amazon.co.jp/
amazon usa http://www.amazon.com/
紀伊国屋 http://bookweb.kinokuniya.co.jp
ジュンク堂書店 http://www.junkudo.co.jp/index.jsp?
(c) 翻訳サイト
exite (英・中 ⇔ 日) http://wwww.exite.co.jp
(d) 百科事典・英語辞典
ウィキペディア(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/
英語学習者のための辞書一覧 http://www001.upp.so-net.ne.jp/google/dic.htm
(e) 文学作品テキストライブラリー
文学作品データBibliomania http://www.bibliomania.com/
文学作品ライブラリー http://www.classicallibrary.org/index.htm
(f) 英字新聞
The Japan Times http://www.japantimes.co.jp/
Asahi Evening News http://www.asahi.com/english/english.html
(g) 英語関連学会情報
外国語教育関係学会一覧 http://gamp.c.u-tokyo.ac.jp/~flta/link1.htm
外国語教育メデイア学会関西支部 http://www.let-kansai.org/
(h) 英語教育関連
VOAをベースにした英語クイズ http://www.manythings.org/voa/
VOAのテキストアーカイブ http://www.manythings.org/voa/scripts/
米国連邦政府の子供向けサイトリスト http://www.fedstats.gov/kids.html
米国政府による子供向けサイト http://bensguide.gpo.gov/subject.html
NIEHSの子供向けサイト http://www.niehs.nih.gov/kids/home.htm
Timeの子供向けサイト http://www.timeforkids.com/TFK
教育者向けサイト http://www.education-world.com/index.shtml
遠隔教育関連サイト http://teams.lacoe.edu/
New York Timesの学習ネット http://www.nytimes.com/learning/
家庭教育関連サイト http://homeschooling.gomilpitas.com/index.htm
Newton’s Apple http://www.ktca.org/newtons/
小学校英語教育 http://www.urban.ne.jp/home/bisa/children/elementary1.htm
英語教育ニュース http://www.eigokyoikunews.com/
英語教育の哲学的研究 http://ha2.seikyou.ne.jp/home/yanase/
英語教育関連リンク集 http://iteslj.org/links/
The Internet Archive http://www.archive.org/
胆英研 (胆振英語教育研究協議会) http://www2.hamajima.co.jp/~taneiken/
英語科教材データベース http://engserve.edu.mie-u.ac.jp/~eg6005/
Randall’s ESL Cyber Listening Lab http://www.esl-lab.com/
(i) インターネットラジオ・テレビ
ブロードバンドテレビ関連 http://broadband-television.com/
ライブテレビ放送 http://wwitv.com/
メディアリテラシーレビュー http://interact.uoregon.edu/MediaLit/mlr/home/index.html
CNN http://www.cnn.com
(j) スピーチ、歴史関連
アメリカの名スピーチ http://www.pbs.org/greatspeeches/
歴史的スピーチ音声ファイル http://www.webcorp.com/sounds/nixon.htm
歴史的スピーチアーカイブ http://www.historychannel.com/speeches/archive2.html
ルーカスのパブリックスピーキングページ http://www.mhhe.com/socscience/comm/lucas/student/
パブリックスピーキングインフォメーションhttp://www.selfgrowth.com./public.html
外国語広場 アメリカ大統領関係 http://www.gaikoku.info/english/president.htm
スピーチ音声クリップ http://www.audible.com/adbl/store/welcome.jsp
アメリカ大統領関係 http://www.presidency.ucsb.edu/
インターネットパブリックライブラリー大統領関連 http://www.ipl.org/div/potus/
アメリカ大統領雑学 http://www.elrosa.com/tisen/70/70289.html
American Experience The Presidents http://www.pbs.org/wgbh/amex/presidents/
米国歴史関連 http://www.historyplace.com/index.html
アメリカ大統領就任演説翻訳 http://hw001.gate01.com/katokt/inaugral09.htm
アメリカ大統領関連リンク集 http://www.info.sophia.ac.jp/amecana/J4/people.htm
(k) 著作権関連
社団法人著作権情報センター http://www.cric.or.jp/
文化庁ホームページ http://www.bunka.go.jp/
著作権のひろば http://cozylaw.com/copy.html
教師のための著作権Q&A http://www.japet.or.jp/ideaqa/
名和小太郎先生講演会報告 http://www2.ipcku.kansai-u.ac.jp/~takeuchi/ProfNawa.html

2005.5.28 コンピュータを活用した文法導入のための視覚教材作成

文法導入 TOSS文法導入場面中学英語指導技術
視覚教材作成 にがお絵ござる丸Clipart元気イングリッシュ
毎日の読み物 毎日1分!英字新聞
海外とのコミュニケーション E-pal

2005.5.28 英語コーパスの授業への活用

Ant Conc http://www.f.waseda.jp/anthony/
Kwic Concordance http://www.chs.nihon-u.ac.jp/eng_dpt/tukamoto/kwic.html

2005.6.4 英語音声教材の収集と編集

Instant Online Crossword Puzzle Maker
Puzzlemaker

2005.6.11 英語音声教材の効果的な提示

Three Ps:

Presentation: ひきつけるもの=多用なもの、実用的なもの

Practice: グループ活動、生徒それぞれのスピードでの学び

Production: 発表などの目標があるとよい

外務省 世界の国一覧
世界の窓
季節に応じたクラフト
きみの街をつくろうペーパークラフト

2005.6.18 英語映像教材の効果的な提示

くちぐせNEWS 音のペンマンシップ
松香フォニックス QA100/200 弾丸インプット方式
Sound it! 音声編集ソフト
教育情報ナショナルセンター

2005.7.19 最終レポート 教育工学と私の英語教育実践 − 自己分析と今後への課題 −

■1.はじめに

 教育工学が扱う対象が時代の先端を行くものであるだけに、そこから生み出される成果は、目新しく、人目を引くものであることが多い。テープやCD、MD、DVDに初めて触れた驚き、インターネットの常時接続環境が整ったときの感動は、忘れることができない。
 一方でこれまでの指導法で満足している場合、これらの技術を触れる動機付けや必然性がないため、これらの技術から距離をとる人は多い。昔からのやり方を貫かれて退職していかれる先輩方を多数、目にしてきた。
 教育現場で教育工学を利用する際に、もっとも難しくかつ大切なのは、自己満足に終わらないことであると考えている。いかに便利だ、有用だ、と訴えても、教育成果から客観的に考えた場合に、効果的でない場合も多く見られる。教育工学そのものは目的ではなく手段であり、教育実践を充実させ、教育成果を挙げることが目的となる。教育工学を利用する際にはデジタルディバイドに代表される格差を超えて、教師間や学習者と、目的と成果を共有することが最も重要だと考えている。
 では、教育成果とは何か?英語教育にどのような目標を設定すればいいのか?楽しければいい、偏差値を上げればいい、というのは共に極論にすぎない。私が考える英語教育の目指すべき成果とは、1)自己学習に向けてのペースメーカーになる、2)英語学習へのハードルを下げるという2つである。英語の授業の最終目標は、授業がなくても自分自身の意思で英語の勉強を続けていけるようにすること、そして、授業はそのためのハードルを下げるためにありたい。
 以上のような考えに基づいて、私が教育工学を教育現場で利用する際に心がけているのは、シンプルにかつ協調できる形にということである。たとえば、アウトルックを使えば見栄えがよくなったとしても、プリントで済ますことができるものはプリントで、MDを使う必要がないものはテープで、ということである。後ろ向きなようだが、結果的にこのほうが、成果を他の先生方と共有しやすくなる。
 このような目標を達成するために、私が日々取り組んでいること、これから取り組もうとしている課題について、以下に述べたい。

■2.英語学習&情報収集

 自己研鑽として、英語学習を行う際には、同僚との足並みをそろえる必要もなく、自分にあったやり方で、利用できる。現在、以下のような実践を行っている。
a.インターネット・・・オンライン辞書と検索サイトを利用した用例検索を併用することで、語法で悩むことはほとんどなくなった。また検索サイトを活用することで、たいていの情報を入手することができる。次に紹介するように、頻繁に利用するものを検索結果をホームページとしてまとめておけば、手間もかからない。
b.ホームページ・・・多少手間はかかるが、作成した教材をHTML化してインターネットに公開しておげば、検索しやすく、再利用価値が上がる。また他の先生方との情報の共有もしやすく、意見交換にも役立っている。オンライン辞書や英語教材として利用できるサイトをリンク集としてまとめておけば、情報収集がより容易になる。以下にその実践例をあげる。今回の講義で紹介された有用な情報を自分なりに整理してみた。

なんでもリンク・・・日常的に使うサイト

http://b.hatena.ne.jp/JCD00620/

PDIC Users Page・・・オンライン辞書を中心にまとめたサイト

http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/

c.メール・・・2GBの要領が利用できるGmailを利用することで、長文だけでなく、画像・音声なども容易に送信できるようになった。削除する必要もなく、データのバックアップにも優れる。万が一を考慮して、Hotmailアカウントへ転送する設定にしてあり、2重バックアップが取れるようにしてある。PCがクラッシュする恐怖からようやく開放された。ホームページと違い、非公開なので、プライベートな情報も蓄積できる。
d.ブログ・・・日々の記録として。英語学習だけでなく、生活全般の記録を残し、自己分析に役立てている。メールに対して、一覧性、装飾のしやすさ、公開・非公開の管理などの点で、また編集のしやすさという点で、ホームページより優れている。
e.DVDレコーダー・・・見たい番組のある時間にあわせてテレビの前に座る拘束と、ビデオの予約設定をする煩雑さから、解放してくれた画期的な道具。NHKの語学番組を、すべてDVD化しても、メディア単価も安く、さほど場所もとらないため、重宝している。
f.MDコンポ・・・MDLP化したことで、80分×4倍=320分を扱えることになり、カセットテープが持っていた150分という容量をついに超えた。NHKのラジオ語学番組や英語ニュースを1週間分とりためて、通勤時間に聞くようにしている。

■3.英語教育実践

 英語学習という、個人レベルでは利用場面の多い教育工学だが、教育の現場での直接利用となると、問題点も多く、場面が限られる。

a.問題作成

 オリジナルの問題作成時には、上記リンク集の情報源が大活躍した。児童向けの英語サイトは、語彙レベル・内容の両面で、試験問題にふさわしいものが多い。
 中でも、語彙制限が最も厳しい次のサイトは、問題作成に使いやすかった。

Voice of America Special English

http://www.voanews.com/specialenglish/

 一般向けの教材作成、特に試験問題作成の際には、使用語彙が厳しく限定されていることから、頻繁に語彙レベル表の参照を要求される。もちろん紙の語彙レベル表を参照してもよいが、次のソフトを利用することで、容易に語彙レベルのチェックが可能になった。必要なデータは自作した。

辞書ソフトPDICの使い方

http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/PDIC.HTM

辞書データPDEJ2005について

http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/PDEJ.HTM

 オリジナルの問題作成の際には、まずネットで情報収集し、PDICを使って、語彙レベルをチェックしながら作成する、という手順で行うようにしている。語彙レベルが高すぎる場合は、以下のサイトを利用して、よりやさしい語彙を探すようにしている。

RhymeZone http://www.rhymezone.com/

その他、オリジナル問題の教材を提供しているサイトに、以下のようなものがある。

Yahooligans http://yahooligans.yahoo.com/content/news/

Blue Web'n http://www.kn.pacbell.com/wired/bluewebn/index.cfm

cBBC Newsround http://news.bbc.co.uk/cbbcnews/

TIME for Kids http://www.timeforkids.com/TFK/news

Scholastic News http://teacher.scholastic.com/scholasticnews/news/

National Geographic Kids http://news.nationalgeographic.com/kids/

Science News http://www.sciencenewsforkids.org/

Fact Monster http://www.factmonster.com/fmnews.html

BBC Learning http://www.bbc.co.uk/worldservice/learningenglish/newsenglish/

New York Times http://www.nytimes.com/learning/

b.教材作成

 洋画や洋楽を利用して教材を作成すると、生徒の学習動機も高まり、効果的である。

映画の台本 http://www.script-o-rama.com/

洋楽の歌詞 http://www.ntl.matrix.com.br/pfilho/summer.html

 これらの素材を教材化するには

Cloze Test http://oscar.lang.nagoya-u.ac.jp/program/perl/cloze2.html

PuzzleMaker http://puzzlemaker.school.discovery.com/

 などを利用するとよい。語彙レベルのチェックに

Frequency Level Checker http://language.tiu.ac.jp/flc/

 を利用することもできる。難解な単語には、上で紹介したPDICを使えば、語彙リストが簡単に作成できる。発音記号が必要な際は、以下のサイトが有用である。

テキスト/発音記号変換フォーム

http://www.kt.rim.or.jp/~s_aoki/english/text2pron/

 出来上がった教材の体裁を整えたり、スペルチェックが必要な際には、以下のサイトを利用するとよい。

Text Tools http://www.motionnet.com/texttools/

c.実践の記録+リサイクル

 作成した考査や教材類をHTML化して、再利用できるようにしておく。ただし、著作権にかかわるものは公開できない。以下が例である。

英語通信Pyxis http://homepage1.nifty.com/yoshi_2000/PYXIS.HTM

■4.今後への課題・・・自己満足を脱するために

 今後、教育工学の分野で新たに取り組んでみたいと考えているのは、以下の項目である。

a.授業分析・・・授業を客観視するために、ビデオカメラ+編集可能なPCを購入して、授業分析を行ってみたい。

b.共有化・・・作成したものをできるだけ共有できるように。なくてもすむものに時間をかけない。

c.使いやすさ・・・Usability。シンプルに使いやすく。世代格差を乗り越える努力が必要。使いやすくないと共有できない。

d.互換性・・・これまでのメディアとの親和性。DVD化すればビデオが、MD化すればカセットテープが、それぞれ変換する対象として残ってしまう。新たな技術を導入するときには、互換性についてしっかり研究したい。

e.新規メディア・・・DVDの『次』、Blue-Ray Discに代表される大容量化。映像の取り扱いが容易に。MDの『次』、i-Podに代表される大容量・多様化・メディア不要化。MDコンポとPCとの融合、PC上での音声・画像の編集。

■5.まとめ

 インターネットやAV機器をはじめとする教育工学の分野は、常に進歩しており、その成果も目覚しい。英語教育に利用できそうなもの、利用すれば効率化が図れそうなものも多数見られる。常に興味関心を持って、情報を取り入れるようにしていきたい。
 一方で、安易に教育現場で利用しようとすると、問題点も多い。時間とお金ばかりとって効率が上がらない。うまくいっても周囲には理解できない自己満足に終わってしまう。効果が上がっているように見えても、実は教育工学を利用しなくても、同等の成果が得られる別の方法が存在することもある。費用と時間をつぎ込むだけに、取り返しがつかなくなり、教育工学を利用することそのものが目的化してしまい、英語教育という本当の目的が二の次になっている場合も見られる。
 授業が舞台だとすれば、教育工学というおしゃれだけれど経験不足な俳優さんには、まず舞台裏である、個人レベルや教材の作成という舞台裏で、じっくり経験をつんでから、舞台に上がるのが、適切な利用法であると考えている。他の分野同様、教育工学も魔法の杖ではない。その長所と短所をよく理解した上で利用することが、大切である。